韓国最新就活ニュース:就職費用の増加、新入社員の平均年齢

韓国では今、「準備費用の高騰」「年齢による採用の壁」など、若者の就職に関する課題が大きく注目されています。日本とは異なり、韓国では大学卒業後すぐに就職せず、語学や資格試験、就職塾などで準備期間を設けるケースも多く、「就職活動=第二の受験」と呼ばれるほどです。この記事では、2025年韓国における就活トレンドを最新データから読み解きます。韓国人材の採用やキャリア観を理解するための参考としてご覧ください。

就職準備費用は月平均約3万円―語学・資格取得が最大の負担に

韓国の就職情報サイト「キャッチ(CATCH)」が実施した調査によると、就職準備生の月平均費用は28万ウォン(約3万円)でした。内訳を見ると、およそ半数が「月3万円前後」を負担している結果に。費用の主な使途は、語学・資格取得費、カフェやスタディールーム利用料、塾・講義受講料と続き、自己投資型の支出が多くを占めました。
また、「昨年より費用が増えた」と答えた人は43%に上り、就職準備における経済的負担が確実に拡大していることが分かります。支出の原資は「個人資金」が最も多く、次いで「家族の支援」、「アルバイト・インターン収入」でした。一方で、「政府補助金」や「奨学金」などの利用は限定的にとどまっています。 CATCH本部長 キム・ジョンヒョン氏によれば「就職準備費用の増加は、単なる物価上昇ではなく、若者の“雇用不安”を反映しています。企業研究や資格取得のためにお金を使う学生が増えており、社会全体で“就職コスト”が上昇している傾向があるとのこと。韓国では就職予備校に通う学生も多く、“就職塾文化”が若者の生活の一部になっています。 一方、日本の就活生も、参考書代や資格試験、証明写真などで負担が増しており、「就職準備コスト」は両国で共通の課題となりつつあります。

新入社員の平均年齢は男性30.4歳・女性28.2歳 ―「マジノ線年齢」

採用プラットフォーム「インクルート(Incruit)」の調査では、2025年の新入社員の平均適正年齢は男性30.4歳、女性28.2歳と発表されました。

さらに、韓国独自の概念である「マジノ線年齢(마지노선 나이)」=この年齢までに初就職を終えなければならないとされる最終ラインは、男性32歳・女性29.6歳が平均値となりました。この年齢観の背景には、就職準備期間の長期化や「中古新入(既卒で再チャレンジする新入社員)」の増加があります。一方で、昨年よりマジノ線年齢が約1歳下がったことから、「年齢による採用制限」が再び強まっている兆しも見られます。韓国では、履歴書に生年月日を記載する文化がまだ一般的であり、日本以上に「年齢=経歴・誠実さ」の基準として見られやすい傾向があります。若手採用を目指す企業にとっても、候補者の年齢バランスをどう捉えるかが今後の課題になりそうです。

日本企業が注力すべき採用戦略

これらのデータから見えてきた韓国の若者が直面している課題背景を理解した上で、日本企業が韓国人材採用を強化する際に意識すべきポイントは3つあります。

「成長と柔軟性」を訴求する採用メッセージ

韓国の若者は「雇用不安」を抱えつつも、スキルアップやキャリア形成を重視する傾向が強まっています。日本企業が「長期雇用の安定性」だけでなく、「スキルが活かせる」「キャリアチェンジが可能」といった柔軟なキャリアパスを明確に提示することが重要です。

年齢や経歴を問わない“リスキリング採用”の導入

韓国では、就職準備期間が長期化し「30歳前後での初就職」が一般的になっています。そのため、日本企業が「年齢不問・既卒歓迎」の採用姿勢を打ち出すことは大きな差別化になります。特にエンジニア職や専門職などでは、「ポテンシャル採用+再教育支援制度」を整えることで、優秀な“リスタート層”を獲得できるでしょう。

家庭やライフステージを考慮した働き方支援

ひとり親世帯の増加や経済格差の拡大を背景に、ワークライフバランスや在宅勤務への関心が高まっています。韓国人材が日本企業で長く働くためには、柔軟な勤務制度・育児支援・住宅補助など、生活基盤を支える仕組みの整備が不可欠です。これら3つの視点を踏まえることで、日本企業は単なる「採用活動」ではなく、韓国人材との「持続的な関係構築(リレーション採用)」を実現できます。

まとめ

今回のニュースでご紹介した韓国の若者が直面しているハードルはどれも個人の努力だけでは解決が難しい構造的な課題ですが、韓国の若者たちは夢や安定を求めて、学びと挑戦を続けています。KORECでは今後も、こうしたデータを通じて「韓国人材のリアルな就職事情」と「日本企業が理解すべき採用トレンド」を継続的に発信していきます。