韓国経営者総協会の調査によると、2025年度に新規採用計画があると答えた企業は60.8%にとどまり、コロナ以降最も低い数値となりました。一方で、韓国経済人協会の調査では、昨年の大卒新入社員のうち28.9%がすでに経歴を持つ「キャリア新入社員」だったことが分かり、韓国では新入社員よりも経験を積んだキャリア新入社員の採用を行なっている企業が多いようです。今回は、こうしたキャリア新入社員を採用するメリットと実際に採用された企業の皆様のインタビューについてご紹介します。
※今回の記事では便宜上、韓国で使われる「중고신입사원」という表現を、日本語に直訳した「中古新入社員」ではなく、よりポジティブな印象である「キャリア新入社員」として表記しています。
○韓国のキャリア新入社員とは
職務経験があったり、専門分野に精通する方など何かしらの能力面で新入社員に勝る部分がある方をキャリア新入社員と呼び、日本の第二新卒と似た存在であると考えて良いかもしれません。
- ・短期間の職務経験がある人
例:1年未満〜数年程度のキャリアを持ち、新たな仕事を探している人。
- ・新たな業界や職種に挑戦する人
例:営業からITエンジニアに転向するなど、これまでと異なる分野に転職する人。
- ・公務員試験準備や資格取得のために専門分野の勉強をした後、就職する人
例:公務員試験やロースクール、資格取得のために講座を受けていたなど経験があり、
企業への就職を選んだ人。
キャリア新入社員を採用する企業のメリット
企業にとって、キャリア新入社員を採用するメリットとはどんな点が挙げられるでしょうか。ここでは、主なメリットについていくつかご紹介します。
新入社員並みの待遇で、社会・実務経験のある人材の確保
新入社員と同等の給料で、社会経験や実務経験があり、職業訓練や社会人経験をしているため、社会人に必要なマナーや基本的なビジネススキルの研修を最小限に抑えることができ、実務へいち早く取り組んでもらうことができます。
新しい視点や多様な経験を取り入れられる
働いてきた企業や他の業界・職種での経験から、従来のやり方にとらわれない柔軟な発想や提案が期待でき、これまでになかったアイデアやアプローチが業務改善や新たな事業のアイデアをもたらしてくれるかも知れません。
スムーズな配属と即戦力としての活用
基本的な研修を最小限に済ませることができるため、入社してすぐに実務やプロジェクトに参加してもらうことができ、欲しいポジションで即戦力として活躍していただけるでしょう。
キャリア新入社員として入社する韓国人学生のメリット
キャリア新入社員を採用する企業のメリットをご紹介しましたが、学生にはどのような魅力的なポイントがあるのでしょうか。ここでは、キャリア新入社員として入社を目指す韓国人学生の視点から、主なメリットをご紹介します。
新卒枠と同じように入社できる
完全な「中途採用」と違い、同時期に入社する同期がいる場合もあり、新入社員同様の研修を受けれる場合があります。また、同期がいることにより、中途社員に比べて、社内での交流に参加しやすく感じるようです。
社会経験・実務経験をアピールできる
これまでの社内経験や実務経験を活かし、新卒よりも一歩リードした業務内容からスタートができる可能性があります。
成長・昇進のスピードが早くなることもある
入社直後から責任ある業務を任されるチャンスがあります。成果をしっかりと出せば、在籍期間が短くても早期に昇進できる可能性があり、学生にとってはキャリアビジョンをいち早く実現できるかもしれません。
KORECを通じてキャリア新入社員を採用した企業様のコメント
KORECではキャリア新入社員の採用に多く携わっており、これまでに多くの企業様へ人材をご紹介してきました。今回は、採用企業様から寄せられた実際の声や導入後の成果を生のコメントをあわせてご紹介します。
体験談①
「英語の素養が高い=即戦力」かつ「アジア圏で日本と親交の深い国=文化が近い」という理由で新たに韓国人材に着目
韓国では英語教育が非常に盛んであり、国際業務や多国籍環境にもすぐに対応できる人材が多いです。また、韓国は日本と価値観・ビジネスマナー・労働観が似ており、職場文化への適応も早いです。英語力・実務経験・文化適応力を兼ね備えた人材を、新卒並みの待遇で迎え入れることができるため、企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。
KORECインタビュー:【韓国人材の採用企業インタビュー】株式会社Ubicomホールディングス様
体験談②
韓国人学生の採用では新卒・既卒の優秀な学生と出会えたらすぐに採用し比較的近い時期に入社が期待できるのも魅力でした。
優秀なキャリア新入社員人材を見つけた場合、すぐに採用し、比較的短期間で入社してもらうことができます。韓国では新卒・既卒を問わず、随時、求人募集と就職活動を行っているため、採用のタイミングが合えばスピーディーに内定から入社まで進めることができます。長期にわたって内定を保持したり、入社まで待機することが一般的な日本の新卒採用とは異なり、今欲しいポジションに最適な人材をすぐ採用することができるのが魅力的なポイントです。
KORECインタビュー:KORECでエンジニア職の即戦力採用が成功!人事担当と新入社員に聞く「人材との出会い方」と「日本就活のコツ」
体験談③
入社前にすでに基礎力がついているから、入社後の成長スピードも早く、入社2年目で現在の社内システムを構築・実装するプロジェクトチームに配属されて、実際にプロダクトをどう動かすか各部署と調整するなど多くの経験ができています。
入社前に社会人基礎力と実務スキルを身につけているため、すぐに現場で活躍でき、初期育成コストも低く抑えられます。基礎知識があることから成長スピードも早く、入社してすぐ、プロジェクトや実務を伴う業務へ配属することができます。仕事を任せられるまでの期間が短いため、チームの一員として即戦力になれる点も大きな強みです。
KORECインタビュー:【韓国人材の採用企業インタビュー】株式会社GA technologies様
まとめ
社会人の基礎力と実務経験を兼ね備えた韓国のキャリア新入社員は、日本の企業にとって貴重な人材となり得ます。英語力や多文化への適応力、日本と近いビジネスマナーも備えているため、早期に現場で活躍することが期待できます。また、韓国では新卒・既卒を問わず柔軟に就職活動を行う傾向があり、採用から入社までのスピード感も魅力です。この機会に、第二新卒採用の一環として韓国人人材を取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考記事
Yahoo!ニュース:【韓国】25年の新規採用6割、コロナ以降で最低に
亜州日報:韓国大企業、10人中3人は「中古新入」…経歴職の割合増加
KOREA WAVE:「即戦力・新卒待遇」企業が狙う“中途新入社員”…韓国・就活戦線に異変