韓国国内の就職競争の激化や賃金格差などの経済的要因により、韓国の就活生の海外就職への関心が高まっています。特に、若年層の失業率の高さや大企業への就職の難しさが、海外就職を選択する大きな要因となっていますさらに、キャリア成長の機会を求める学生が多く、海外での経験を積むことでグローバルな視点を得られることが海外就職の魅力とされています。韓国政府も積極的に海外就職支援の拡大も、海外で働くことを現実的な選択肢にしています。今回の記事では、韓国人就活生の海外就職に関する最新データを特性や支援制度なども含めて紹介していきます。
最新調査データ/海外就職に成功した韓国人材
2024年の調査によると、海外就職に成功した韓国人の総数は5,463人で、前年(5,024人)と比較して8.7%増加しました。これは、韓国の若年層が海外でのキャリア形成に積極的であることを示しています。
順位 | 国 | 就職者数 |
1位 | アメリカ | 1,659 |
2位 | 日本 | 1,293 |
3位 | シンガポール | 299 |
4位 | ベトナム | 284 |
韓国政府の海外就職支援事業においても、これらの国々が主要な対象国となっています。2023年のKOTRA(大韓貿易投資振興公社)の調査によると、韓国政府が支援した海外就職者数は1,263人で、そのうち日本が16.4%(208人)を占めました。2024年には、海外就職支援者数の目標を1,450人に引き上げており、その中で日本は全体の20%を占める最大の就職先となる見込みです。
韓国の学生や若手社会人にとって、日本やアメリカが主要な海外就職先となっています。特に日本は、地理的な近さや文化的な親和性、韓国企業の進出の多さなどの理由から、引き続き人気の就職先であり続けると予想されています。韓国政府も海外就職支援を強化しており、今後もこの傾向は継続するでしょう。
韓国人材の特性と求められるスキル
韓国の学生が海外で評価される理由には、勤勉さ・責任感の強さ・適応力の高さが挙げられます。特に韓国では受験競争が激しく、OECD加盟国の中でも大学進学率はトップレベルの約70%(OECD「Education at a Glance 2023」)を誇るため、高学歴で専門知識を持つ人材が多いのが特徴です。また、グローバル社会に適応するために語学力を磨く学生が多く、海外企業からも評価されています。
韓国人材の強み
- ・高い学歴と専門知識
韓国の大学進学率はOECD平均(約41%)を大きく上回る70%(OECD, 2023)。特に理工系やIT分野に強く、海外の技術職・エンジニア職への就職率が高まっています。 - ・語学力の高さ(英語・日本語・中国語など)
TOEICの平均スコアで世界5位(2023年ETS発表)と、英語力が高い国の一つ。2022年のデータでは、韓国の日本語能力試験(JLPT)受験者数は約6万人と、中国に次ぐ規模(日本国際教育支援協会)。 - ・柔軟な適応力と異文化対応力
韓国の20代の海外留学経験者数は2010年から2022年にかけて約20%増加(韓国教育部データ)。海外留学者の約30%が卒業後に現地での就職を希望(韓国教育部, 2023)。 - ・デジタルリテラシーの高さ
韓国は世界でも有数のIT大国であり、2023年のIMD世界デジタル競争力ランキングで8位(IMD, 2023)。
韓国政府や大学の海外就職支援制度
韓国政府や大学も、学生の海外就職を積極的に支援する取り組みを強化しています。近年のデータによると、韓国政府の支援を通じて2023年には1,263人が海外就職し、2024年には1,450人への拡大を目標としています(KOTRA, 2024)。また、多くの大学も独自の支援プログラムを実施し、学生の海外就職を後押ししています。
主要な政府の海外就職支援プログラ厶
K-Moveプログラム(HRD Korea:韓国人材公社)
韓国政府が主導するK-Moveプログラムは、若者の海外就職を支援する代表的な制度です。2023年に1,263人の海外就職を支援し、2024年には1,450人を目標。
主な支援内容:
- 企業紹介(現地企業とのマッチング支援)
- 語学研修(英語・日本語など、仕事で必要なスキルを強化)
- ビザ取得支援(渡航・就労ビザのサポート)
- 海外適応研修(現地文化やビジネスマナーの教育)
K-Moveプログラムによる2023年の海外就職支援実績
就職先国 | 就職者数 | 割合 |
---|---|---|
日本 | 208人 | 16.4% |
アメリカ | 189人 | 15.0% |
ベトナム | 145 | 11.5% |
その他 | 721 | 57.1% |
大学による海外就職支援制度
多くの韓国の大学も、学生の海外就職をサポートするために以下のような制度を導入しています。
- 海外インターンシップ
代表例:延世大学の「Global Career Internship」、ソウル大学の「Global Talent Program」 - 海外就職フェアの開催
2023年の「Global Job Fair」では約100社の企業が参加し、500人以上の学生が面接(KOTRA, 2023) - キャリアカウンセリングの実施
就職希望者向けに、履歴書添削・面接対策・業界分析などを提供。最近では、AIを活用した面接対策プログラムも導入(成均館大学)
まとめ
韓国の学生は、国内外でのキャリア構築を目指し、積極的に海外就職に取り組んでいます。近年、韓国政府や大学の支援が強化され、海外での就職機会が大きく広がっています。特に日本をはじめとしたアジア圏では、韓国の学生に対する採用ニーズが高まっており、優れた語学力や専門性を活かして国際社会で活躍する韓国人材への期待が高まっています。
韓国の学生が海外で成功するためには、異文化への適応力や実践的なスキルの習得が不可欠です。企業にとっても、グローバルな視点を持つ韓国の若い人材を採用することは、組織の多様性を高め、新たな市場での競争力を強化する大きなメリットとなります。
今後も、韓国政府の海外就職支援策や大学のキャリアプログラムを活用し、国際的なキャリアを築く学生が増えていくことが期待されます。企業は、韓国の学生に向けた採用情報の発信や、より魅力的なキャリアパスの提示を行うことで、優秀な人材とつながる機会を広げることができます。
参考文献(Bibliography)
- Nateニュース. (2024年8月23日). [オンラインニュース記事]. 取得元: https://news.nate.com/view/20240823n06060
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- 毎日経済新聞. (2024年). [オンラインニュース記事]. 取得元: https://www.mk.co.kr/news/society/8081092
- 日本科学技術学会. (43巻1号). 「J-Stage: 技術教育研究論文」. 取得元: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssvte/43/1/43_KJ00008723184/_pdf/-char/ja
- Japan-Korea Strait 8. (2024年). [オンライン資料]. 取得元: japan-korea-strait8.org
- JETRO. (2024年). [調査報告書]. 取得元: JETRO公式サイト
- KOREC. (2024年). [レポート]. 取得元: KOREC公式サイト
- 実践アジア社長塾オンライン講座. (2024年). [オンライン講座].
- JETRO. (2024年3月4日). 「特別レポート」. 取得元: https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2024/0304/c2fc9cadf697c06d.html