独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が2025年11月に発表した報告書によると、日本で働く韓国人は約7万5,000人にのぼり、卸・小売業や宿泊・飲食業での就業が多い一方、情報通信分野での割合が高い点も特徴とされています。こうした傾向から、日本における韓国人人材の活躍領域が見えてきます。本記事では、業界別の特徴と採用のヒントを整理します。
韓国人人材が多く活躍する業界
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が2025年11月に公表した海外労働情報(韓国)では、日本で就業する韓国人の職種別分布や産業別の特徴が示されています。実際に、2024年のデータでは、卸・小売業が全体の約20%と最も多く、情報通信業(13.4%)、宿泊・飲食サービス業(13.1%)と続いています。こうした傾向を踏まえ、以下では日本企業において韓国人人材が活躍しやすい主な業界と、その理由を整理します。
― 卸売・小売
卸売・小売業においては、韓国人人材がEC運営や韓国ブランド関連ビジネスの分野で活躍していると考えられます。韓国コスメやファッションなどのトレンドに対する理解が深く、市場感覚を活かした商品選定や販促企画、バイヤー業務などにおいて価値を発揮しやすい傾向があると思われます。特に、日韓双方の消費者ニーズを把握できる点は、クロスボーダーでの事業展開において有効に機能する可能性があるでしょう。
― IT・情報通信
IT・情報通信業においても韓国人人材の活躍が見られると考えられます。韓国ではデジタル領域の発展が進んでおり、エンジニアやWeb・アプリ開発に加え、デジタルマーケティング領域にも対応可能な人材が多い傾向があります。SNS運用やコンテンツ制作など、日韓両市場を意識した施策に対応できる点は、日本企業にとって有益な要素となるでしょう。
― 宿泊・飲食サービス業
宿泊・飲食サービス業においては、韓国人のみならず海外からの観光客への対応を中心に、韓国語・英語を活かした接客や通訳業務において韓国人人材の活躍が期待されていると考えられます。日本のインバウンド需要の回復に伴い、現場での円滑なコミュニケーションを支える存在として、その重要性は今後さらに高まると考えられます。
韓国人材の強みと適正
こうした業界での活躍を踏まえると、韓国人材にはどのような強みと適性があるのでしょうか。
これらの業界での活躍から、韓国人材は対人スキルとデジタルスキルの双方に強みを持つ傾向があるといえます。接客やコミュニケーション能力に加え、SNSやITツールの活用にも慣れているケースが多く、オフラインとオンラインの両面で対応可能な点が特徴です。
また、韓国語と日本語、または英語などの第三言語を活かした業務に従事することで、その能力をより発揮しやすい傾向があります。特に日韓両国をつなぐ役割においては、言語だけでなく文化理解も含めた価値提供が可能になるでしょう。さらに、韓国市場と関わるポジションで活躍するケースが多い点も特徴です。韓国ブランドの展開や韓国向けマーケティングなどにおいて、その専門性が活かされる場面が多いといえます。
韓国人材の活用における課題と意識すべきポイント
韓国人材を採用する際には、適切な役割設計がなされていない場合、能力を十分に発揮できない可能性があります。日本人と同様の業務にそのまま配置した場合、語学力や市場理解といった強みが活かされにくくなることもあるでしょう。また、韓国関連業務との接点が少ないポジションでは、専門性を発揮する機会が限定される可能性も考えられます。その結果、本来期待される付加価値を十分に生み出せないケースも考えられます。そのため、日本企業においては採用後の配置や業務内容について事前に十分検討することが重要です。特に、これまで実績のある業界や職種に配置することでミスマッチを防ぎ、早期に戦力化できる可能性が高まります。単なる人手不足の補填ではなく、付加価値を生み出す人材として活用する視点が重要となるでしょう。
企業事例から見る韓国人材採用の実践ポイント
これまで見てきたように、韓国人材は特定の業界を中心に強みを発揮しやすい一方で、適切な役割設計や活用方法が重要となります。では、実際に企業はどのように韓国人材を採用し、活躍につなげているのでしょうか。ここでは、KORECで実際に韓国人人材を採用した企業様及び韓国人学生へのインタビューをもとに、活用のポイントを紹介します。
Q. 韓国人採用に興味を持った経緯は?
異なる文化的な背景を持っている人を採用することで、会社全体が新しい視点やアイデア等を取り入れていくきっかけとなることを期待して外国人採用に動き出しました。そこで日本への関心度が高く、文化的・距離的にも近い、日本語レベルが高い韓国人材に興味を持ちました。
ダイドードリンコ様(メーカー)
Q. 韓国人人材採用のメリットは?
非常に真面目で、上下関係をしっかり意識した行動と発言をしてくれるなと思います。そして向上心、自らの野心というか将来的な目標ーエンジニアとして食べていくんだ!という覚悟が見えます。
k-Hack様(情報通信業)
Q. 今後も韓国学生の採用を継続して行きたいか?
続けていきたいです。韓国人の貪欲に仕事に励む姿は、日本人の同期やチーム全体に対してプラスの刺激を与えてくれる存在です。今後会社の成長に向けてますますの活躍を期待していますし、会社側としても韓国学生の将来目指すビジョンに向けて様々な経験・挑戦ができる機会を用意していきたいと思っています!
オークファン様(情報通信業)
Q. 働く中でやりがいを感じるのはどんな時?
自身の韓国語、日本語、英語の能力を活かして顧客対応やメール、電話対応ができることにやりがいを感じています。
東急リゾーツ&ステイ様(宿泊サービス業)
【前編】「日常を旅するホテル」で個性を輝かせる!東急リゾーツ&ステイで活躍する韓国人社員に聞く、入社後のリアル!
Q. 今後の目標について教えてください。
僕も将来日韓関係に貢献したいと考えています。初めは民間でできるレベルからでも、日韓の協力を築ける仕事がしたいなと考えています。
日本企業に内定をもらった韓国人学生へのインタビュー 第五弾!
まとめ
韓国人材は、語学力に加え、デジタルスキルや対人能力を兼ね備えた存在として、特定の分野を中心に日本企業でも高い適応力を発揮しています。日本企業は、その特性を踏まえた配置や役割設計を行うことで、より大きな成果につながる可能性があるでしょう。
単なる採用にとどまらず、「どのように活躍してもらうか」という視点で、採用後の本人の志向や強みを踏まえ、能力を最大限発揮できる環境を整えることが求められるでしょう。