最近、韓国の労働者の中で約70%以上の人が週4日勤務制度に賛成という記事が上がっていました。以前公開した記事の内容にもありますが、韓国のMZ世代の中でワークライフバランスを重視する傾向が強まっており、休日が週3日となるのは非常に魅力的なようです。今回の記事では、韓国人材の仕事、職場に対する意識傾向をリサーチし、日本企業が韓国人材にアピールできるポイントとは何かを探っていきたいと思います。
多くの若手社員が週4日制度導入の支持
国会環境労働委員会所属のパク・ホンベ氏と民主党議員が2024年9月に発表した労働時間および週4日制認識調査によると、韓国の会社員の63.2%が週4日制導入に賛成するとの結果とのことです。中でも、20代会社員の74.2%、30代会社員の71.4%、未婚会社員の70.1%が週4日制導入に賛成しているようです。Work and Life Balanceを略した「ウォラベル」と呼ばれる言葉が広まっているように、韓国の若手社員の間ではワークライフバランスを重要視する傾向が強くなってきているようです。
多くの韓国の会社員が週4日制度を望んでいる理由として、世界と比較した際の韓国の長い労働時間が考えられます。経済協力開発機構(OECD)が発表した、2023年の韓国の平均年間労働時間は1,872時間で、OECDの平均である1,742時間に比べて130時間も多いとのことです。また、今回の週4日制認識調査では、労働時間短縮に68.1%、 法定年次休暇拡大に74.3%、時間外労働の限度下方修正に66.6%の韓国の会社員が同意しているとのことでした。他国と比べても長い労働時間が恒常化している一方で、若手社員はプライベートの時間を多く取れる働き方を望んでいるのが現状のようです。
日本企業においては、有休消化率の高さや少ない残業時間・ノー残業デーの設定といった勤務日・勤務時間を重要視しているという点が大きなアピールポイントとなるでしょう。
韓国人材の趣味から分析する福利厚生
ニュースウェイが2024年6月韓国人の趣味ランキングを発表しました。2019年度に4位だったゲームが2024年には1位との結果でした。その後の順位は運動/ジム、登山、動画視聴、散歩などが続きます。
以前の記事でも取り上げた通り、韓国では政府がeスポーツを公式スポーツとして認め、eスポーツの発展を支援する政策を打ち出すほどの人気があります。KOREC登録者の学生の間でも、処遇面や手厚い福利厚生などからゲーム会社への人気は高いです。中高生の間で行われた「将来の夢」調査では、ソフトウェア開発者がトップ入りしており、根強い人気は今後も続くと見られます。また、運動/ジム、散歩、登山、ゴルフ、釣りといったアクティビティも人気が根強いです。
日本企業においては、ヘルスケアへの意識が高く運動系の社内サークルがある会社であれば、韓国人材との話題にすることもできるでしょう。また動画鑑賞、音楽鑑賞、読書や旅行といった趣味については、サークルの設立や月額会員料金の割引、図書カード・旅行券の支給が福利厚生であると魅力的に感じるかと思われます。
場所・時間にとらわれない柔軟な働き方
ハンギョレ新聞が2023年9月に発表した記事によると、34カ国の正社員4万2千人余りを対象にリモートワーク日数を調査した結果、韓国の会社員の月平均リモート日数が1.6日で最も短かったとのことです。多くの先進国が月平均4日以上のリモートワークを行なっている中、アジア諸国は3日前後と少ない結果ですが、中でも韓国はアジア諸国からも遅れをとっています。しかしながら、働き方の柔軟性からリモートワークを望む若手層は多くなっているのが現状です。
また、ジョブコリアが会社員の出勤時間について調査した結果、ソウルに企業が集中している韓国では、ソウル近郊のキョンギ道(日本の神奈川、埼玉、千葉など東京周辺の地域にあたる)からの通勤時間が58.2分となっており、多くの人が出退勤がストレスに感じているとのことでした。場所にとらわれない柔軟なリモートワークが可能な会社は韓国人材にとって魅力的であると考えられます。また、社宅の提供や家賃補助を行うことで会社の近隣に移住する事ができ、出退勤のストレスが軽減される点がメリットとなるでしょう。
今話題のNAVERの採用手段と教育制度
韓国トップシェア「NAVER」は韓国国民の生活を支えている会社です。採用情報提供企業「キャッチ」が2023年に発表した情報によると、NAVERは就活生の入社希望企業1位を獲得したとのことでした。
求職者目線で考えるNAVERの魅力とは何でしょうか?
これまで韓国の多くの企業では学歴中心、且つ即戦力採用といった採用方法の傾向が強かったですが、NAVERはチームの中で仲間たちと相乗効果を出すことのできる人材を探しています。具体的には、書類選考の段階で志願者の履歴書をすべて読み、面接で成功・失敗体験を述べる際には、結果よりも過程を重視し、志願者の過去のストーリーを理解して、今後NAVERでどのように貢献してくれるかを考えるそうです。他にも、NAVER社員が求職者のメンターとなり、実際のプロジェクトに近い形で一緒に業務をし、同僚として一緒に働く姿や改善していく過程での取り組み方、サービスへの興味を見ているとのことでした。また既に働いている会社員目線でのNAVERの魅力として、給与などの福利厚生以外に採用試験合格後の段階別の職務教育、バディー制度、コネクティッド制度、コードデーなど充実した教育機会を提供していることが魅力とも書かれていました。
以前のKORECの記事でも紹介されていた実際に日本企業に就職した韓国人材が日本企業を選んだメリットとして、内定承諾後から入社までの期間で独自の研修システムが組まれており、しっかり勉強してから入社することができた点が挙げられていました。固定された人物層を持たず、業界や企業の今後にマッチする“コードが合う”人材を探すために求職者のバックグラウンドや好奇心を見て、学歴・能力だけにとらわれない採用方法が求職者にとっての魅力と言えるでしょう。また、社員の職務能力にマッチした教育機会の提供や会社の方向性や戦略を互いに確認し合う機会を作ることが、会社員にとって勤めやすいと感じる会社の方針であるようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。韓国の会社の特徴や韓国人会社員・求職者の思考から、韓国人が魅力的に感じることのできる日本企業とは何かを探りました。日本ではよくある福利厚生や制度も、韓国企業では取り組まれていなかったり軽視されていることもあるようです。こちらの記事を参考にし、韓国人求職者が入社したいと感じられる貴社ならではのアピールポイントを是非ご紹介してみてください。
参考文献
韓国・会社員6割「週4日制導入すべきだ」…ワークライフバランス重視の傾向
国会も「週4日制」に向けて動くか・・・「会社員10人中6人導入しなければ」
[職場ニュース]会社員、出勤まで平均48分…1日2時間は出退勤に消耗
キャッチ、就任生が選定した2023年今年の企業発表 2023年1位企業は昨年に続き「NAVER」
就活生が希望する企業第1位のNAVER構成員になる方法「これ」