
近年、企業のオフィスや職場空間にも“SNS映え”などの新たな視点が求められるようになりました。特に採用対象となるZ世代や若手層は、応募前に企業の社内空間をSNSや動画でチェックすることが増えており、オフィスの印象が採用成果や企業ブランドに直結し始めています。
そんな中、注目を集めているのが、韓国人の持つ“発信力”と“美意識(ビジュアルセンス)”です。彼らが自然に作り出す空間や写真表現には、イメージを刷新するヒントが詰まっています。本記事では、韓国流センスをヒントに、オフィス空間を魅せる職場づくりと、それを採用につなげる方法を紹介します。
韓国人の “写真力” と “美的センス” が職場を変える?

SNS利用率が高い日常環境
韓国では、SNS利用が生活に深く根付いており、特にInstagramを使う人の割合は人口の約63.8%と推定されます(日本:全世代平均で約52.6%)※。このような背景から、写真やビジュアル表現への感度が自然と高まる環境が形成されています。
※ 出典:InterAd「Social Media in Korea」
ビジュアルコンテンツが重視される文化の中では、光の使い方・構図・映える小物選びなどが重要であり、公益財団法人日本デザイン振興会「デザインに関する意識調査(海外編、2020年2月)」でも、韓国はデザイン意識の高さが他国と比べて顕著であると報告されています。例えば、Instagramで「회사 책상 꾸미기(会社の机をデコる)」と検索すると、多くのオフィスデスク装飾アイデアがヒットします。こうした装飾は、単なる見た目の演出だけでなく、ストレスを軽減するための工夫が根底にあることも特徴です。
なぜ韓国人は“「映える」場づくり”が得意なのか?
「他人の目」を強く意識する文化
韓国社会では、服装・化粧・持ち物から空間づくりに至るまで、「どう見られるか」が非常に重視されます。こうした意識は、「ヌンチ(눈치)」という概念にも現れており、他人の視線や気持ちを読む感覚が人々の行動に影響を与えています。
発信前提で見られる日常
韓国では、日常が「発信対象」であるという意識が広く共有されています。空間を見る際にも「撮る前提」で観察し、自然と“映える”構図や背景を選ぶ習慣が育まれており、結果として美意識の高い空間づくりが日常化します。
カフェ文化とイベント文化が育てる感性
韓国には“映えカフェ”が氾濫しており、その空間美が日常的に目に映ることで、感性が磨かれていきます。また、誕生日や結婚式の前夜祭、カップルの記念日などを派手にデコレーションしてSNSにアップする文化も根強く、空間演出への経験値が高いのも特徴です。
採用につなげる方法

企業が「映える職場」を採用戦略に活用するには、以下のような施策が有効です。
SNS運用による発信
オフィスツアー動画、社員の日常を追ったVlog、リール投稿などを通じて、職場の雰囲気をリアルに伝えます。
採用サイト・企業ホームページでの写真活用
社内の風景、デスクまわり、ラウンジや共有スペースなどを、統一感のあるビジュアルで掲載しておくと、応募者に安心感と魅力を与えられます。
イベントや職場交流の公開
社内イベントやチームワークを伝える投稿は、「楽しそうな職場」という印象を与え、応募意欲を高めます。
今すぐできるオフィス「映え」の工夫実例

「木の温もりを感じるオフィス」「植物を多く取り入れた空間」「社員が自由に装飾できるデスクまわり」といった小さな工夫を写真に収めるだけで、応募者にポジティブな印象を与えられます。たとえば、観葉植物やアートポスターを配置し、落ち着いた雰囲気を演出している事例も増えています。こうした写真はInstagramで「#オフィスツアー」「#オフィス紹介」などのハッシュタグと組み合わせて発信すると効果的です。
ー壁一面にカラフルなポストイットを貼った会議スペース
社員のアイデアが生まれる“象徴的な場所”として発信されています。
ーカフェ風のオフィスラウンジに並ぶコーヒーマシンや観葉植物
応募者に“働きやすい”印象を直感的に与えます。
ー社員が自分のデスクを自由にデコレーションできる仕組み
“個性を大切にする社風”を表現する効果的な手法です。
ーInstagramのハッシュタグ
#オフィス紹介 で検索されやすい“映える一枚”は、採用広報に直結する資産となります。
まとめ
採用マーケティングでは、社内空間の見せ方が重要になります。オフィス環境を意識的に整えることで、企業は効果的なブランド媒体としてオフィスを活用できます。韓国流の“発信力”と“美意識”から得られるヒントを取り入れつつ、企業ならではの魅力を視覚的に伝える一手をこの機会にご検討いただければ幸いです。