
韓国のMZ世代は、学業や仕事に忙しい日々の中でも、自分磨きの時間を大切にしています。美容やファッションだけでなく、運動や語学、資格取得など多方面に取り組み、常に新しい自分を模索しています。今回の記事では、私が韓国で留学やワーキングホリデー、社会人として生活する中で見た、リアルな韓国の日常を紹介します。
積極的な学習意欲が身についている学習スタイル

韓国はこれまでご紹介したように幼少期から教育熱が高く、若者たちの「学び」に対する意識は非常に強いです。そのため、勉強をサポートする施設や環境が都市部を中心に数多く整備されています。
無人カフェ
近年急速に増えているのが、24時間利用可能な無人カフェです。店員が常駐せず、QRコードで注文し、非接触で受け取れる仕組みが特徴です。静かで集中できる環境が整っているため、試験勉強やリモートワークの拠点として利用されていることが多いようです。
スタディカフェ
韓国の学生や社会人に欠かせない存在がスタディカフェです。個室や集中席、グループ学習用のスペースなど多様な形式が用意されています。自宅以外で集中できる第二の勉強部屋のような役割を果たしており、終日多くの人が利用しています。
出典:チョンジュMBC「スタディカフェ」に代わる学習センター、5つの市郡に造成
PCバン(インターネットカフェ)
高性能PCと高速インターネット環境を備えたPCバンは、もともとはゲームのための施設ですが、最近では課題や調べ物を行う学習の場としても利用されています。施設や食事も充実しており、長時間利用する方も多いようです。
出典:DZNET KoreaEスポーツPCバンブランド「レッドフォースPCバン」、水原仁渓店オープン
駅で本貸し出し・読書イベント
地下鉄やショッピングモールの一角には小規模な「ミニ図書館」が設置されています。通勤・通学の途中で簡単に本を借りることができ、移動時間を有効活用することができます。
また、ソウル市庁前のソウル広場、光化門の本の庭などでは、読書に関する屋外イベントも多く開催されており、MZ世代や会社員、海外からの旅行客まで幅広い層が読書を楽しんでいるそうです。
出典:東亜日報スコラスティック、ソウル野外図書館再オープンを迎え、キュレーション書が発売
教育熱から派生したセルフケア習慣

韓国MZ世代は、学習への意欲と同じくらい「自己管理=セルフケア」にも熱心です。外見や健康が韓国の社会生活において大きな意味を持つため、セルフケアを日常的に取り入れることが一般的であり、一種のライフスタイルとなっているのです。
健康食品やサプリメントで体調管理
受験や就職活動などの大切な時期には、サプリメントや栄養ドリンクで体調管理を行う人が多数います。韓国のドラッグストアやコンビニには、ビタミン剤や栄養補助食品が手軽に購入できる環境が整っており、若者のセルフケアを支えています。
上記画像にある東亜製薬オソモールのマルチビタミンは国内売上1位に選ばれており、その人気の高さがうかがえます。
ジムやパーソナルトレーニングで「健康的な体づくり」
ジム通いが一般的であり、特にパーソナルトレーニングを受ける若者が増えています。目的は単なるダイエットではなく、姿勢改善や長期的な体力づくり。近年では、インナーマッスルを強化できるピラティスが女性を中心に流行しており、“見た目の美しさ”と“健康的な体”の両立が求められていることが分かります。
皮膚科や美容クリニック通いは日常
韓国では美容クリニックは特別な場所ではなく、学生や男性も気軽に通います。ニキビ治療や美肌ケアのために、レーザー治療やピーリングといった施術を短時間で受けられるのが魅力で「日常的なセルフケア」の一部として広く受け入れられています。
ダイエット食品やゼロカロリー飲料で美容と健康を両立
「腸活ゼリー」「デトックスドリンク」など、美容と健康を同時にサポートできる食品も積極的に取り入れています。ゼロカロリー飲料も甘さを楽しみながらカロリーを気にせず飲めることから定番化しています。またシェイクやバータイプのプロテイン食品は、筋トレをする人だけでなく、勉強や仕事の合間の間食としても人気です。栄養を効率よく摂りながら体調管理できるため、忙しいMZ世代にとって欠かせない存在になっています。食事の置き換えとして利用するケースも多く、「効率重視で健康を維持する」という世代の価値観を象徴しています。
出典:イーデイリーティゼンがヨーグルトベース高タンパクシェイク「ヨミル」を発売
アジアトップの英語力が土台!高い海外志向

グローバル社会が進展する中で、韓国のMZ世代は国内にとどまらず、積極的に海外へと目を向けています。旅行や語学学習、留学やワーキングホリデーなど、多様な手段を通じて異文化に触れ、自分の可能性を広げようとする姿勢が強く表れています。
海外旅行
韓国人のパスポート保有率は約60%と、日本の約17.5%に比べても非常に高い水準です。アジアのハブ空港である仁川空港からは多くの国際線が飛んでおり、気軽に海外へ行くことができ、海外旅行は身近な娯楽として定着しています。今年1月の旧正月の時期の韓国人出国者数は約297万人と過去最大を記録し、コロナ前の2019年1月の約293万人を上回りました。行き先では日本が最多で約93万人、次いでベトナムが約44万人となっており、旅行者が増加している点から韓国人の海外志向の強さがうかがえます。
語学学習
就職活動におけるTOEICや語学スコアの重要性に加えて、韓国のMZ世代はコミュニケーション力や自己成長を目的に語学学習に取り組んでいます。
経済コンテンツニュースレター「アピティ」がマネーレター加入者351人対象でアンケートを行ったところ、70.1%が「基本的な会話が可能なレベル」以上であるとのことです。外国語を学ぶ理由については、 「現地での自由なコミュニケーション」が28.2%、「自己啓発」が26.5%、「外国文化への関心または趣味」が19.1%となり、これらの結果より、試験のスコアやスペックよりも多くの国の人々とコミュニケーションするために外国語を勉強していることがわかります。
留学・ワーキングホリデー
韓国は人口に対して海外へ留学する比率が高く、OECDの統計でも上位に位置しています。留学先としてはアメリカ、カナダ、日本、フィリピン、中国などが多く、英語のみならず近隣国へのの留学することも多いようです。さらに、日韓両政府は2025年8月に、若者の交流を促進するためワーキングホリデービザを1回から2回まで取得可能とする方向で調整中であり、日本でのワーキングホリデー取得件数は年間約7400件と最も多いため、制度拡充への期待も高まっています。
まとめ
韓国のMZ世代は、学習や自己成長に意欲的で、美容や運動、語学や資格取得などさまざまな分野で自分磨きを行っています。海外への関心も高く、日本での留学やワーキングホリデーに興味を持つ若者も増えています。これから韓国の若者の行動やライフスタイルを知るうえで、ぜひ参考にしてみてください。
参考文献
東亜日報:スコラスティック、ソウル野外図書館再オープンを迎え、キュレーション書が発売
朝鮮日報:旅券パワー世界2位の韓日、保有率は韓国60%:日本17%
中央日報:内需活性化を狙った旧正月の臨時休日、海外旅行だけを増やした=韓国
Daum チャンネル:MZ世代「外国語2つ以上駆使は基本」
NHKニュース日韓両政府 ワーホリビザを2回まで取得可に拡充で調整