
皆さんは、日本に滞在できるビザの種類にどんなものがあるかご存知でしょうか。韓国人人材の履歴書を見ると、留学やワーキングホリデーなど、さまざまな形で日本に滞在しているケースがあります。しかし、ビザの種類によって学んだ内容や経験の深さは大きく異なります。
今回の記事では、履歴書だけでは見えにくい、日本での滞在ビザの種類とその特徴を紹介します。ビザ制度を理解しておくことで、学生がどのような経験を積み、どのような強みを持っているのかをより正確に把握することができるでしょう。
なぜ採用担当者が在留資格を理解する必要があるのか?

一口に日本滞在と言っても、どの在留資格で、どのような目的を持ち、どれほどの期間日本で過ごしていたのかによって、日本語力や業務適応力、さらには就労後の定着可能性には大きな差があります。採用担当者にとって重要なのは、滞在の有無そのものではなく、その背景にある経験の質を正しく読み取ることです。
在留資格は単なる手続き上の区分ではなく、日本でどのような環境に身を置き、どの程度日本社会や職場文化に触れてきたのかを示す重要な手がかりとなります。ビザ制度を理解することで、履歴書だけでは見えにくい日本語運用力や対人スキル、就労への意識をより立体的に把握することが可能になります。
日本滞在経験は「有無」ではなく「中身」に注視
以下では、韓国人学生人材が日本に滞在する際に利用する主なビザの種類をまとめています。ビザによって「活動内容」「滞在期間」「特徴」が異なり、韓国人人材が日本でどのような経験を積んできたかを知る手がかりになることも。採用前にビザの基本を押さえておくことで、韓国人人材の背景や今後の就労可能性をより正確に把握することができるでしょう。

①正規留学ー日本で学び、高い適応能力が魅力
正規留学とは、日本の大学に4年間在籍して学位を取得する留学を指します。入学方法は推薦入試・一般入試・外国人留学生入試など多様ですが、入学時に求められる日本語力は、JLPT N2〜N1レベルを目安としている学校が多いようです。在学中は講義・レポート・就職活動などをすべて日本語で行うため、実践的な日本語力と文化理解が自然と身につけられるでしょう。
韓国人人材を採用する企業へのメリット
正規留学の大きな強みは、4年間の学生生活を通して日本人学生と同じ環境で学び、生活するため、日本社会や企業文化への適応力が高いことと考えられます。また、学位取得によって就業ビザの取得要件を満たす場合もあります。
② 交換留学ー国際対応能力が高い傾向
韓国の大学に在籍したまま、日本の提携大学に 1学期〜1年間、留学するのが交換留学制度です。正規留学に比べると費用負担が少なく、取得した単位は韓国の母校でも認定されるため、卒業を遅らせずに日本での学びを経験できるのが特徴です。交換留学への応募条件として、日本語能力が必須ではなく、 一定以上の英語力(TOEIC・TOEFLなど)が求められる場合もあります。そのため、交換留学を通して基礎的な日本語能力を身につけ、韓国語・英語・日本語を使いこなすトリリンガル人材へと成長する学生もいるようです。また、交換留学生は、母校での成績上位層や積極的に国際活動に参加する学生が多く、学習意欲・コミュニケーション能力が高い傾向にあります。
韓国人人材を採用する企業へのメリット
日本では専攻科目の授業を日本語または英語で履修し、短期間ながらも異文化環境の中で成果を上げる経験を積んでいるため、英語力や専攻知識を磨きつつ、文化環境への柔軟性と国際的な対応力を兼ね備えた人材が多いのが特徴と言えるでしょう。
③語学留学ー学習と現場経験で取得した日本語能力
日本語学校に個人で申請し、日本語を集中的に学ぶ留学のことを指します。留学期間は、個人により異なりますが、一般的に3か月〜2年程度通う方が多いようです。日本語学校には、大学・専門学校への進学準備、日本語能力試験(JLPT)対策、ビジネス日本語など多様なプログラムがあり、目的に応じてコースを選択できるようです。留学中は週28時間以内のアルバイトが可能で、飲食店・コンビニ・カフェ・販売などで働きながら、日本語の勉強をする方が多いようです。
韓国人人材を採用する企業へのメリット
学校で基礎から日本語を学びながら、日常的に日本人と接する環境でアルバイト経験を積んでおり、実践的な日本語会話力と接客マナーを身につけている方が多いと考えられます。
④ワーキングホリデーー生活力と実務適応力が備わる
ワーキングホリデーは、18〜30歳を対象にした制度で、従来は最大1年間の滞在が可能でしたが、今年10月より最長2年・2回まで利用可能となりました。この制度では、就学・就労・観光のいずれも自由に行うことができ、留学よりも自由度が高いのが特徴です。就労面では、飲食店・販売・観光・ホテル・塾アシスタント など、接客やサービス業を中心に幅広い分野で、週28時間〜最大40時間勤務が可能です。
韓国人人材を採用する企業へのメリット
ワーキングホリデーで滞在する方の中には、大学卒業後や社会人経験を経て渡航するケースも多く、一定の専門知識や就業経験を持っている人材も少なくないようです。そのため、基礎的な社会人マナーや実務経験、専門的な知識を兼ね備えた人材も多く、企業側にとっては教育・指導がスムーズで即戦力になりやすいという点がメリットであると考えられるでしょう。
⑤就業ビザー長期雇用が前提
外国人人材が日本の大学や日本語学校などの経験を経て、日本企業に正社員として採用される場合に必要となるのが 、就業ビザ(正式名称:技術・人文知識・国際業務ビザ)です。このビザでは、エンジニア・通訳・マーケティング・企画・デザイン・貿易業務 など、専門性を伴う幅広い職種での就労が可能です。在留期間は1年・3年・5年と段階的に更新でき、長期的な雇用関係を築くことも十分に可能です。
韓国人人材を採用する企業の注意点
韓国人人材に限らず、外国人材の正社員採用には必ずこの就業ビザの取得が必要であり、申請には職務内容や専攻との関連性を示す専門的な書類が求められます。また、外国人就労者の増加に伴い、審査から発給まで半年程度かかる場合もあるため、採用スケジュールには余裕を持った計画が重要と考えられます。企業の皆様が韓国人人材を採用する場合、採用予定者がどのビザに該当するか、在留資格申請のタイミングを早めに確認することで、入社手続きがスムーズに進むでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。日本に滞在できるビザにはさまざまな種類があり、その目的や内容によって学生が得る経験も大きく異なります。
それぞれの特徴を理解することで、履歴書だけでは見えにくい学びの深さや日本語力、適応力をより正確に把握することができ、採用判断の大きな助けとなるでしょう。
参考文献
Yahoo!ニュース:日本政府、韓国人に対する「ワーキングホリデービザ」の再取得許可へ
KORECコラム:外国人就労手続きの手引き