韓国注目地方エリア・カルチャーガイドー距離が縮まる地元トーク

韓国の人々にとって、「どちらのご出身ですか?」という質問はごく自然で親しみのある会話のひとつです。これは単なる場所の確認ではなく、その人の価値観やアイデンティティに触れる重要なきっかけになります。

韓国では地域ごとに性格傾向、方言、文化、食生活が大きく異なると言われ、地元に強い誇りを持っている人も多いためです。面接や会話の中で相手の地元文化に少しでも触れることができれば、「自分に興味を持ってくれている」と感じてもらいやすく、信頼関係を築く第一歩になります。

特に、日本企業や海外での就職に不安を感じている韓国人材にとって、「地元を理解してもらえている」という安心感は、何よりも心強いものです。

本記事では、そんな「地元トーク」が効果的な理由とともに、主要な地方エリアのカルチャーポイントを紹介します。

注目地方エリア・カルチャーガイド

■釜山(プサン)

韓国南部に位置する港町・釜山は、ソウルに次ぐ第二の都市として知られ、活気と開放的な雰囲気が魅力。特に人懐っこい性格や特徴的な釜山方言があることは、会話を盛り上げる要素の一つです。新鮮な海産物グルメや海雲台、甘川文化村など観光スポットも豊富で、旅行や日常会話の話題に事欠きません。海が育む自由な気質とエネルギッシュで温かい人柄が多いと言われ、親しみを感じやすい都市です。

  • 有名人:俳優 カン・ドンウォン、aespaウインター、俳優 コン・ユ
  • 有名大学:釜山大学、釜慶大学、釜山外国語大学
  • 特産品:釜山おでん(オムク)、ナッコプセ(海鮮鍋)、ミルミョン(小麦粉で作られた冷麺)

■済州島(チェジュド)

韓国最南端に位置するリゾート地・済州島(チェジュ島)は、火山によって生まれた独自の自然と美しい風景が魅力で、ユネスコの世界自然遺産にも登録されています。島全体がヒーリングスポットのような雰囲気を持つため、出身者にはどこかのどかで自由な気質の人々が多いそう。近年では、Netflixドラマ『おつかれさま』の舞台にもなり、韓国のゴールデングローブ賞とも呼ばれる「第61回百想芸術大賞」で4冠を達成するなど、ロケ地としても有名です。また、黒豚料理や新鮮なアワビ、ハルラボン(済州みかん)などのご当地グルメも人気で、食の楽しみも多いのが特徴です。

  • 有名人:Red Velvet ジョイ、NCT ヘチャン
  • 有名大学:国立済州大学校
  • 特産品:黒豚、アワビ、ハルラボン(みかん)、オメギ餅、トコブシ

■光州(クァンジュ)

韓国南西部に位置する光州は、「芸術と民主化の街」として知られ、歴史と表現が共存する都市です。5.18民主化運動の舞台であり、国立アジア文化殿堂など文化施設も充実。人々はこの街に誇りを持ち、自由を尊重し、表現力や自己主張に長けた印象があるかもしれません。自然も豊かで、無等山国立公園や伝統的なビビンバなど、話題は多岐に渡ります。アートや歴史に関心がある人との会話に最適なエリアです。

  • 有名人:東方神起 ユンホ、 BTS J-HOPE
  • 有名大学:光州大学校
  • 特産品:キムチ、韓定食、鴨肉スープ、トッカルビ

■江原道(カンウォンド)

韓国北東部に広がる江原道は、美しい海岸線と山岳地帯に囲まれた自然の宝庫。スキー場や避暑地としても人気が高く、最近では韓流ドラマのロケ地としても注目を集めています。自然とともに生きるこの地にあった穏やかな人柄の人が多いと言われ、海と山の幸に恵まれたグルメの魅力も多く、癒し系の話題にぴったり。春川や束草など、地域によって特色も異なるため、会話の幅も広がります。

  • 有名人:俳優 ウォンビン、Super Junior ヒチョル
  • 有名大学:江原大学、江陵原州大学
  • 特産品:ジャガイモ、とうもろこし、山菜、松茸

■仁川(インチョン)

首都ソウルの西に位置し、仁川国際空港をはじめとする交通の要衝として発展してきた都市。チャイナタウンや近代的な松島(ソンド)国際都市、海沿いのグルメも魅力。国際的な雰囲気と庶民的なエネルギーが混在する仁川は、ローカルとグローバルを両方語れるユニークな都市であるため、その多様性や国際感覚に敏感な人との会話が楽しめるかもしれません。

  • 有名人:GFRIEND オムジ、THE BOYS ヨンフン
  • 有名大学:仁川大学
  • 特産品:高麗人参、マッコリ

■全州(チョンジュ)

韓国伝統文化の中心地である全州は、全州韓屋村や伝統工芸・食文化で知られます。歴史情緒あふれる街並みと、全州ビビンバや豆もやしクッパといったグルメは、韓国文化を深く味わいたい人にぴったり。街並みのように落ち着いた性格の人が多く、穏やかで芯のある会話ができる可能性もありそう。伝統×モダンを感じられる場所です。

  • 有名人:少女時代 テヨン、ITZY イェジ
  • 有名大学:全州大学
  • 特産品:全州ビビンバ、コンナムルクッパ、マッコリ

■忠清道(チュンチョンド)

韓国の中部に広がる忠清道は、百済の古都として歴史的遺産が多く残るエリア。特に大田や世宗市など、近代都市と歴史の融合が進んでいます。のどかな農村風景と近代都市のバランスが取れており、穏やかで包容力のある人柄が多い傾向とのこと。栗や伝統菓子など素朴な特産品も豊富で、地方色と温かみを感じる話題に最適です。

  • 有名人:歌手 RAIN
  • 有名大学:忠南大学、忠北大学
  • 特産品:りんご、山菜、きのこ、鴨料理、くるみ饅頭、栗

■蔚山(ウルサン)

韓国南東部に位置し、現代自動車や造船業、石油化学など重工業の中心地として知られる産業都市。都市機能が整いながらも、自然も豊かで、港町ならではのグルメや景観も楽しめます。産業の街ながら住みやすさにも定評があるそう。現代的な感性と重工業に携わる実直な気質が共存する人が多いと言われています。工業・グローバル企業の話題や、海の幸グルメの話にも強いエリア。

  • 有名人:女優 キムテヒ、RIIZE ウォンビン
  • 有名大学:蔚山科学技術大学校、蔚山大学校
  • 特産品:梨パン、刺身、彦陽プルコギ

なぜ「出身地トーク」が効果的なのか?

韓国では、「出身地」は単なる地理的情報ではなく、その人の価値観、性格、人生観を大きく形づくる要素のひとつです。地域によって方言や文化、生活スタイル、さらには教育や経済の背景までもが異なるため、出身地はその人のアイデンティティに直結する話題といえます。

そのため、面接やビジネスの場で出身地に触れることは、単なる雑談ではありません。「あなた自身に関心を持っています」というメッセージになり、相手の警戒心を和らげ、信頼や親近感を生み出す非常に有効なアプローチとなります。

さらに、出身地に関するちょっとした知識も、例えば「〇〇は料理がおいしいですよね」や「最近観光客が増えているそうですね」といった一言があるだけで、会話の温度が一気に上がることも。これは、韓国社会において地元を認めてもらえること=自分自身を理解してもらえることという感覚が強く根づいているからです。

こんなときに役立ちます

  • 面接でのアイスブレイクに
    → 緊張をほぐし、候補者の本来の人柄を引き出すきっかけに。
  •  内定後のフォロー面談やオリエンテーションに
    → 安心感や「歓迎されている」という感覚を与えられる。
  •  韓国人社員との日常会話・信頼構築に
    → “文化を理解しようとしている姿勢”を伝えることで、協力的な関係を築きやすくなる。

まとめ

「どちらのご出身ですか?」という問いかけは、韓国人との信頼関係を築く上で非常に強力なツールです。ただし、それだけで終わらせないことが重要です。地元の食、歴史、方言、芸能人、観光地など、その土地の文化にまつわる一言を添えるだけで、相手に「自分を尊重してくれている」という印象を与えることができます。

形式的な面接や業務上のやりとりに、“人と人”としての温かさを加えることが地元トークの持つ力です。採用活動や日常業務の中で、ぜひ積極的に活用してみてください。

参考文献

https://english.visitkorea.or.kr/svc/whereToGo/locIntrdn/locIntrdnList.do#tab01
https://www.visitbusan.net/kr/index.do
https://m.visitjeju.net
https://www.gwangju.go.kr/main.do
https://state.gwd.go.kr/portal
https://www.incheon.go.kr/index
https://tour.jeonju.go.kr/index.jeonju#content
https://cheongju.grandculture.net/cheongju/toc/GC00202356
https://www.ulsan.go.kr/u/rep/main.ulsan