
近年南海トラフ地震に関する報道が増え、日本での災害リスクに不安を感じる外国人も少なくありません。特に地震の経験が比較的少ない韓国人学生にとって、日本で働くことは心理的なハードルになる場合があるでしょう。逆に防災への配慮を可視化できる企業は、「安心して働ける会社」として信頼を獲得できるとも言えます。本記事では、日韓における災害認識の違いを整理しながら、韓国人材の定着につながる具体的な防災サポートのあり方を解説します。
日韓で異なる「地震」に対する感覚

Tokyo CheapoとJapan Cheapoが実施したアンケートによると、「日本旅行で最も不安なこと」として自然災害が31%と最も多い結果となりました。
特に地震については、ニュースやSNSを通じて「日本=地震が多い国」というイメージが強く発信されやすく、巨大地震注意報などの報道が出るたびに、不安を感じる外国人も少なくありません。一方で、日本人にとって地震は「特別な出来事」ではなく、日常的に備えるものという認識が根付いています。
例えば、
・建物の耐震性が確保されていること
・避難場所が明確に示されていること
・災害時に迅速な情報伝達が行われること
といった点を前提として、日々の生活が成り立っています。
このような災害に対する認識のギャップを企業側が理解し、韓国人材が実際に日本で働くことになった際に、事前に丁寧な説明を行うことが重要です。日本の防災体制や具体的な行動ルールを共有することで、災害に対する漠然とした不安を和らげ、韓国人材が安心して働ける環境づくりにつなげることができるでしょう。
韓国での災害対策や災害に対する認識

災害の種類と頻度の違い
韓国でも自然災害は発生しますが、日本とは災害の種類や頻度に違いがあります。韓国で比較的身近な災害として挙げられるのは、洪水や集中豪雨、台風、大雪などです。これらの災害は定期的に発生するため対策も進んでいる一方で、大規模な地震を実際に経験する機会は多くありません。
そのため、「地震が起きた瞬間にどう行動すべきか」「どのタイミングで避難するのか」といった判断を、実体験として学ぶ機会は限られています。
韓国における防災意識と訓練の特徴
韓国でも防災訓練は実施されていますが、学校や公共機関を中心とした訓練が多く、実施頻度は日本ほど高くないと感じます。日本では、災害発生時に個人が状況を判断し、主体的に避難行動を取ることが求められますが、こうした考え方や行動に慣れていない韓国人人材も少なくないでしょう。その結果、「何から準備すればよいのか分からない」「本当にこれで合っているのか不安」と感じる韓国人人材も多いのではないでしょうか。
企業として提供できるサポート

韓国人人材が安心して日本で働くためには、「日本では当たり前」とされている防災対策について、どのような備えがあり、災害時にどのように行動すればよいのかを事前に共有することが重要である考えられます。具体的な対応を示すことで、災害に対する不安を軽減することができるでしょう。
避難訓練の実施・説明
社内で実施している避難訓練に、韓国人人材も参加できるようにし、「災害が起きたらまず何をするのか」「どこへ避難するのか」を実際に体験できる機会を設けることは、大きな安心材料になるでしょう。
防災グッズ・備蓄の案内
会社として準備している防災備蓄について、ヘルメットなどの防災用品の保管場所や備蓄されている飲料水や非常食などを事前に共有することで、「万が一の時も会社に備えがある」という安心感につながるでしょう。
緊急連絡体制の明確化
災害は勤務時間中だけでなく、通勤・退勤時や休日にも発生する可能性があります。そのため、災害時の連絡手段、安否確認の仕方や誰から情報が届くのかといった点をを事前に明確にしておくことで、混乱を防ぎ、韓国人人材が落ち着いて行動できる環境を整えることができるでしょう。
日常生活で役立つ情報提供

災害は、いつ・どこで発生するか予測することができません。そのため、職場での対策だけでなく、日常生活に関わる情報提供も韓国人人材の安心感につながるでしょう。
例えば、
・自宅や職場周辺の避難場所
・地域の緊急連絡先
・地震発生時の基本的な行動(エレベーター内、電車内、屋外にいる場合など)
といった情報を事前に共有しておくことで、災害発生時にも落ち着いて行動できるようになるのではないかと考えられます。こうした生活面でのサポートは、「働く場所」だけでなく「暮らす場所」まで配慮しているという企業姿勢を伝えることにもつながるでしょう。
実際に取り組んでいる企業や地域サポート例
JICA × 企業の外国人従業員向け防災リーダー研修
JICA関西では、企業と連携し、外国人従業員を対象とした防災リーダー育成研修を実施したそうです。
この研修では、日本特有の災害リスクや地震発生時の行動、情報の集め方などを学び、外国人従業員が職場や地域で防災の橋渡し役となることを目的としています。
参加者からは、「日本の防災は難しそうだと思っていたが、理由や行動の意味を理解できて安心した」「自分が周囲に伝える立場になることで、防災が身近に感じられた」といった声もあり、知識の習得だけでなく不安の軽減にもつながったようです。
ビレッジハウスによる外国人居住者向け防災サポート
外国人居住者の多い賃貸住宅を運営するビレッジハウスでは、母国語で分かりやすく防災情報を伝える取り組みを行っているそうです。多言語での案内やイラストを用いた説明により、「何をすればいいのか分からない」という不安を減らす工夫がされています。
実際の参加者からは、「母国語で説明してもらえたことで理解しやすかった」「災害時の行動を初めて具体的にイメージできた」といった声もあり、言語面の配慮が安心感につながっていることがわかります。
外国人人材向けの防災支援は、母国語で分かりやすく伝えることや、研修を通じた人とのつながりづくりが不安軽減につながるようです。また、企業だけでなく、住居や地域による防災サポートがあることで、より安心して生活できる環境が整っていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?日本では災害に備える仕組みが整っており、企業としても社員を守る体制があります。こうした取り組みを具体的に伝えることで、韓国人人材に安心感を与えることができます。防災体制の整備や分かりやすい情報提供は、「ここなら安心して働ける」という印象をもたらし、結果的に外国人人材の定着や信頼関係の構築にもつながるのではないでしょうか。
〈参考文献〉
訪日外国人が旅行で最も恐れていることTOP5: 巨大地震注意報の影響は?
日本の地震に対する外国人の反応とは?反応の理由、安全を守る対策を解説【事業者必見】
「防災リーダー育成研修」―日本を襲う災害から、日本人・在住外国人は共に どう身を守るべきか―
南海トラフ地震に備え、日本特有の災害情報の提供で安心安全な暮らしを支援 9月29日、愛知県碧南市のビレッジハウスで防災イベントを開催