韓国人人材と良好な関係を築く6つのポイント

お隣の国であり、歴史的な関わりも多い韓国。近年の韓国料理ブームや韓ドラ・K-POPの流行で、韓国の文化や韓国人の性格についてご存知のことも多いかと思います。しかしながら、いざ会社で韓国人人材と働くとなると、接し方に躊躇ってしまうことがあるかも知れません。今回の記事では、韓国で交換留学とワーキングホリデーを経験した筆者が肌で感じた韓国人とのコミュニケーションの本質、さらに一歩踏み込んだ韓国の文化について6つのポイントに絞ってお伝えしたいと思います。韓国人人材とより良好な関係を築くために、是非参考にしていてください。

情があり、家族思い

韓国では「私たち」を意味するウリという言葉をよく使い、家族や知人との縁をとても大事にします。また、家庭内でも年功序列の意識が高く、両親や祖父母の言うことに従うことが日本人以上に多いようです。家族同士での連絡頻度も多く、韓国語で「愛している」を意味するサランへという言葉の愛情表現も家族間で頻繁にします。韓国ではチュソク(お盆、9〜10月)、ソルナル(旧正月、1〜2月)が大型連休となります。家族や知人との関わりを大切にする韓国人の方々が、大型連休のタイミングに合わせて韓国に帰国できるような長期休暇が取れたら良いでしょう。

2025~2026年韓国の大型連休スケジュール(2025年1月時点)

名称スケジュール
チュソク(お盆)2025/10/5~8
ソルナル(旧正月)2026/2/16~18

KOREC記事:韓国の祝祭日・公休日事情

宗教事情

左の写真は観光客で賑わう明洞に位置する明洞大聖堂、右の写真はソウル市庁前に展示された十字架のクリスマスツリーです。韓国では、国民の約3分の1がキリスト教で、クリスマスも祝日になります。カトリックの方々が集う聖堂、クリスチャンの方々が集う教会が街中のあちこちにあり、クリスマスシーズンはクリスマスツリーの星の部分が十字架になっているツリーも飾られていました。キリスト教の方の方は、毎週日曜日に礼拝をしに教会へ通うため、その時間に外出に誘うと断られたりします。また、食前のお祈りを必ずしなければなりません。時折韓国人にとってはセンシティブな内容と捉える人もいるため注意が必要です。

KOREC記事:韓国の宗教 ーキリスト教徒が国民の3分の1!?ー

兵役・予備軍の制度

兵役制度は、満20〜28歳のすべての韓国人男性が兵役の対象です。(一部、身体的・精神的なトラブルがある人、スポーツなどで功績を収めた人などを除く。)大学に進学する多くの韓国人男性が、大学入学後に休学をし、部署ごとに期間が異なりますが約1年半〜2年の任務を完了して、復学しているようです。除隊後にも予備軍と呼ばれる予備兵士期間がありますが、海外にいる間は免除されます。辛く長い任務を共にした部隊の同期とは、任務が終わった後も連絡を取り合ったりする方も多いようです。また、同じ部隊の先輩・後輩のコミュニティがある会社もあるようです。韓国人の男性にとって兵役は切っては離せない義務ですが、そこで得た精神力や絆は日本人には計り知れない達成感と経験であり、話を聞いてみるのも良いかも知れません。

KOREC記事:韓国男性が避けて通れない兵役

KOREC記事:知られざる韓国海兵隊の世界 !ー海兵隊出身のZerO(ゼロ)さんに聞いてみた《後編》

上下関係と敬語

韓国語には尊敬語や謙譲語があり、日本語と仕組みが似ている部分が多いです。一方で、韓国語の特徴として、年下から年上を呼ぶ名称があり、日本以上に年上を敬う考えが強いように感じます。また、会社で役職者を呼ぶときは、名前+役職名の後ろに様という意味であるニムをつけて呼びます。(キム部長を韓国語で呼ぶとキム部長様となります。)

上下関係においては年齢が重要視されますが、韓国では2023年6月より数え年制度が撤廃され、日本と同様の満年齢制度になりました。数え年とは、1月1日になると同時に1歳、歳を重ねる数え方です。導入より1年半ほど経過しましたが、以前として数え年の方が慣れている方も多く、同世代の韓国の方と年齢の話をする時は数え年なのか、満年齢なのか確認するのが良いかも知れません。私は、これまで年上だと思ってオンニと呼んでいた方が、生まれ年を聞いてみると同い年であったという経験がありました。年齢差で呼び方が異なる韓国語ならではの注意点です。

KOREC記事:数え年から満年齢へ!?韓国と日本の年齢文化の比較

MBTI(性格診断)が流行

2022年頃からMBTIと呼ばれる性格診断が韓国の若者を中心に広まり、現在でもMZ世代の間では、お互いの性格把握や分析をするためよく話題になります。MBTI診断では、「外向型(E)と内向型(I)」「感覚型(S)と直観型(N)」「思考型(T)と感情型(F)」「判断型(J)と知覚型(P)」の4つの要素から、それぞれのアルファベットの頭文字を組み合わせて個人の性格を16タイプに分類します。

筆者もワーキングホリデーで韓国企業の面接をした際に、MBTIの質問を受けました。また、現在勤めている会社では、デスクにMBTIの診断結果を貼っている方が数名いらっしゃり、あまり関わったことのない方でもどのような性格なのかある程度把握することができます。一方で、面談でMBTIを聞かれると、自分のMBTIが会社に相応しくないと判断され落とされるのでは?と不安に思う方も多いようです。韓国人人材と仲を深めるためにMBTIを話題にすると盛り上がるかと思いますが、面接でMBTIを質問するのは避けるのがベターかも知れません。

求人ボックス:MBTI診断ってなに?16の性格タイプを一覧で分かりやすく解説!

AFPBB News:採用面接でMBTI聞かれた…韓国の就活生「I型と言ったら落ちますか?」

食事マナー

日本と同様に米が主食で料理のスタイルは似ているものも多いですが、食事のマナーは日本と異なる点があったり、真逆であることもあります。日本で会社員をしている韓国人の知人の中には、日本で働き始めたばかりの頃に二人箸をしてしまい、上司に怒られた経験があるという話を聞きました。日本語が上手な韓国人人材でもそのようなマナーまでは知らないこともあるため、日本と韓国の食事マナーの違いがあることを理解していただき、日本のマナーを教えてあげられると良いでしょう。

また、韓国といえばお酒をよく飲むというイメージをお持ちの方も多いかも知れませんが、日本のMZ世代の飲み会離れが進んでいるのと同様に、韓国のMZ世代の間でも飲み会への参加については様々考えがあるようです。そして、韓国のお酒といえば焼酎(ソジュ)のイメージが強いかとおもいますが、近年の韓国のMZ世代の中には、ウィスキーなども嗜む人が増えたそうです。お酒の嗜好の多様化により、日本ならではのお酒である日本酒、焼酎、サワー、ハイボールなどへの関心も若者を中心に高まっているように感じます。

参考:お酒で世代格差? 韓国の飲酒文化の変遷

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、韓国人人材とより良好な関係を築くために、知っているようで知らない、一歩踏み込んだ韓国の文化をご紹介させていただきました。韓国人人材の皆さんは日本の文化やマナーを十分に理解している方々ですが、企業の皆様に韓国の文化をさらに知っていただくことで、より仲を深めることができるかと思います。こちらの記事を参考にしていただき、長く良好な関係を築いていただけますと幸いです。